Another 25 Years…

先日長年の夢の一つ、アドリア海からイオニア海へ抜けるという地中海の縦断航海を果たしました。数千の精密機器、発電機、エンジン、セール、船体の補修や準備、登録や航海許可申請、無線免許取得など様々なことに3年半ほどかかり、航海中1か月半、船の中だけで過ごしました。食料、水、電気、インターネットは最低限しかなく、ラジオとGPS海図だけが頼りです。場所によっては魚雷や沈没船が無数にあり、休むための錨もおろせず、体力も気力も限界になりました。荒れた暗い夜の豪雨、凍える寒さと果てしなく押し寄せる波の衝撃の中、極限状態になると様々な体験をします。同時に、ラジオはこのように、毎日海上の人の命と心を結んできたものであり、だれかにとっては命綱そのものであることを、深く実感させられました。

実社会において、憧れや夢はビジョンであり、人はそれが決まればおのずとそこへ向かって進もうとします。その気持ちがまっすぐで強いなら、目を凝らし、かすかに見えたフラッシングシグナルに向かって、命の限り、懸命に進んでいきます。

嵐の夜が明けたある朝、たどりついた元社会主義国家のアルバニアの港は、不思議な風景でした。西側の人は偏見で今でも眉を顰める国ですが、実際は牧歌的かつ驚くほど近代的でした。旅人に対して吹き渡る風のごとくたいへんあたたかいホスピタリティは、心に染みました。視点を変えて見てみれば、世界はまだまだ広く、感動する出会いに溢れています。

憧れや夢は強く思うほど叶うといいます。絶対叶えたいと、自分の将来や目標に定め毎日努力すれば急にチャンスが来たり、実際に叶わなくてもそれに近づいていきます。憧れから具体的な目標に代わる瞬間を意識し、努力を自分なりに具現化していくことを大切にするということ。日々精進の先に夢や憧れがかなう確率が上がると信じます。

株式会社FM BIRDは、本当に多くの人のご厚意やご助力に支えられながら、25年という年月を、メディアという大海原で、夢に向かってひたすら志を高く掲げ、大航海を続けてきました。そのビジョンは、創業当時からぶれずに変わらず、人々の声を、より多くの人へ、確かに届けることです。人々が憧れや夢に向かって努力し、追い求めていくことは、どんな状況下でも強い希望を持つことに通じます。これから迎えるあらたな25年も、人と文化をさらに愛しみ、未来への希望を伝えていきたいと強く決意するものです。

皆様の日頃のご厚情に深い感謝の意を表し、弊社25周年を迎えるにあたってのご挨拶とさせていただきます。
今後とも何卒ご支援ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。

株式会社FM BIRD
代表取締役社長  長倉シュタッフ牧子